ろ過器(フィルター)の役割 熱帯魚・金魚など全観賞魚飼育共通編

ろ過器(フィルター)の役割 熱帯魚・金魚など全観賞魚飼育共通編

このページの最終更新日は2016年12月8日です。情報が古い場合がありますのでご注意ください。

観賞魚飼育で絶対に必要となるろ過フィルターの役割について、金魚・川魚・熱帯魚・海水魚などに共通する知識です。ろ過器にはいろいろな形態のものやプラス機能を持ったものなど様々なものが発売されていますが、フィルターが一体何をしているのかを知っておくと機材を選ぶ際の参考になります。

水中に浮遊するゴミを取る役割

当然のことながら、フィルターと言えばゴミを取る機能があります。ゴミ取りとして使われるのは主にウールマットなどのプラスチック系のものを綿状にしたものが多く使われています。

このウールマットにも種類があり、目の大きさの違いがあったり、水を透明にする、水中の酸性度を変える、水中の毒素を吸着するなど繊維に特殊な機能を持った物質を混ぜたものなどいろいろあります。

ウールマットの目の粗さは飼育する生き物の体表粘膜の量や代謝量などをもとに選択します。金魚・錦鯉・川魚などは比較的代謝量も多く、粘膜の量も多いので、粗目のウールを使用して大きなゴミを取り除いた後で細かいウールを使うと目詰まりが少なく効果的です。

水を透明に保つ(解毒する)役割

観賞魚の飼育をする上でキモとなるのがこの役割になります。フィルターの中では食物連鎖により、魚や水草などが排泄したものを食べて無害化する細菌が多く繁殖します。具体的なメカニズムについては割愛しますが、この環境をいかに作ることができるかで水槽内の健康が保たれます。

フィルターの中では大きく分けて、酸素を使って魚にとって有害な物質を無毒化していく細菌と酸素を使わず主に水の腐敗を防止する細菌の2つが存在します。どちらが欠けても水が不安定になり、水が白濁したり黄ばんだり、悪臭が出たりします。

細菌によるろ過を微生物ろ過と言いますが、これらの細菌を繁殖させやすくするためのろ過材が数多く発売されています。ウールマットにも当然ろ過細菌は繁殖しますが、より水質を安定させるために固形のものが多く用いられます。

また、これらの細菌は簡単に洗い流されてしまったり、水道水中のカルキやトリハロメタンに弱いので可能な限り洗わなくてもいい状態を保つためにも、まずウールマットでゴミを取った後で固形のろ過材に水が回るようにすると上手に飼育水の管理ができるようになります。

淡水に比べて海水では比重(塩分濃度)の違いなどの環境変化が大きいのでこれらの細菌が繁殖しにくいため水質の安定が得にくく、飼育が難しいと言われていますが、安定してしまえば淡水魚と同じように飼育できます。

毒素を吸う役割

魚や水草が出す魚にとって有害な物質を細菌の力を借りる前に吸い取ってしまおうという役割を持つろ過材があります。おもに炭(チャコール)やゼオライトなどが使われます。

炭の材質や焼きの温度などにより価格はピンからキリまでありますが、もともと吸着したら終わり・・・という意味合いの強いろ過材なので、水質安定までの間何度か新しいものに交換しながら使うという方法がお勧めです。

水質を変化させる役割

水をアルカリ性/酸性にしたり、水のキメを整えたり(硬度)、ミネラルなどの鉱物を添加したりする働きがあります。飼育する魚の好む水質に近づけるように使用しますが、成分は永久ではないので定期交換が必要になり、前述のろ過細菌がせっかく繁殖したものを捨ててしまうことにもなるので、使用する際は固形のろ過材と併用するといいと思います。

また、液体で販売されている水質調整剤よりもゆっくり効果を発揮しますので、急激な水質の変化が少なく魚に負担をかけることが少ないのが利点です。

最後に

 上記のように、フィルターの中に入れるろ過材には様々な機能があります。販売店で相談したりパッケージをよく見て自分の飼育する魚にあったろ過材選びをすることが、上手に観賞魚を飼育するための近道だと思います。

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作者:

10年余り観賞魚業界にいた経験に基づく有用な情報を配信しています。
また、このサイトでも使っているWordPressテーマ【HABONE】の開発と配布などを行っています。

年齢:50代 趣味/園芸・ペット・卓球