本当の意味での「地域猫」とは

当サイトのタイトルでもある「地域猫」。私の場合何となく猫ちゃんたちがいつも一緒の場所にいることから関わりが始まったのですが、本当の意味での地域猫というのがどういうものなのか、どういう形が理想なのかがだんだん分かってきました。
「地域猫」はそこの猫ちゃんたちが最終的にはゼロになる活動
ここの猫ちゃんたちと関わっていると、当然ながら猫ちゃんも私もどんどん歳をとっていきます。それはそれで仕方がないことなのですが、これによって最終的にここにいる猫ちゃんがゼロになるために、今生きている仔たちにエサ場を作って食事を与え、トイレを整備し、外ではあっても暮らす場所を作ってあげて、文字通り一代限りの命を全うさせてあげること、それが「地域猫活動」なのです。
「TNR運動」と「地域猫」は全く別物
これを書いている私も最近まで同一の活動の中でやっていることとして認識していましたが、この2つは全く違うものだということがここの猫ちゃん達とかかわる中で分かってきました
[contentcards url=”https://momosiri.nagoya/cats/page-130/page-133″]
私なりの解釈をすると
- 「TNR運動」は野良猫がこれ以上繁殖しないように避妊・去勢をする行動
- 「地域猫」はその場所に居ついてしまった猫に対して避妊・去勢を行った上で地域全体で食・住の管理をすること
で似て異なるものなのです。どちらも飼い主のいない「野良猫」であることには変わりないのですが、前者は総合的に管理する人がいない本当の野良猫、後者は居場所や食事の世話を複数の人でしてもらえている野良猫のことなのです。
行政の区分でいう猫の分類
行政の区分では、別の記事
[contentcards url=”https://momosiri.nagoya/cats/page-130/page-9010″]
で紹介していますが、この分類方法でいう地域猫というのはあくまでも「区分」であり、実態とは違うようです。
猫ちゃんたちが幸せに暮らせることが大切
地域猫活動は活動している人のためのものでも、猫が住み着いていることを公然の事実とするためのものでもありません。「その場所で管理することになった猫ちゃんが出来る限り幸せに余生を過ごせること」が大事なのです。 どういうことか?それは、その地域の人に理解なしでは実現しないということです。
普通の人には単に「野良猫」としか認識されない
いくら有志で避妊・去勢をしていても、いくら一生懸命世話していても、いくらモラルをもって管理していても、「地域猫」というものを知らない人から見たら
- 勝手に自分の周りで野良猫にエサをあげてる人がいる
- 公共の場所(自転車置き場など)に居ついている猫がいる
- みんなが通る場所の近くで野良猫がフンやおしっこをしている
- 勝手に「ここは猫のエサ場」という場所を作っている
- 猫の喧嘩など鳴き声がうるさい
- そこらじゅうにエサやエサを入れたと思われる容器が転がっている
- 夜や夜中に猫と遊んでいる不審な人がいる
など、私たちのように「地域猫」だと思って関わっている人とは正反対の印象を持っているのです。これを地域猫と関わっている人が理解しようとしないと、
- バラバラで自由気ままにエサを与えられて、どこでも構わずフンやおしっこをしてしまっていたのを、「ここはエサ場」「ここはトイレ」「ここは居住場所」と決めてなるべく勝手に猫が行動しないようにしたのに何が不満なんだ?
- 毎日欠かさずエサもやっているのに何が不満なんだ?
- トイレが汚れすぎないように土の入れ替えも行っているのに何が悪い?
- 自分たちでお金を出して避妊・去勢しているのに努力は認めてもらえない?
などおおよそ正反対な印象を持っています。これを払拭しない限り真の「地域猫活動」とは言えませんし、肝心な猫ちゃんたちがいつまでもひっそりと隠れて暮らすしかない「幸せなのか不幸なのか分からない」状態になってしまいます。
「地域猫」である猫ちゃんたちの幸せを確保するためにすべきこと
周囲の住民の方の理解と了承を得る努力をする
既に猫が居ついていて、「迷惑だ」と感じる地域住民の方がいる場合にはかなり難しいかもしれませんが、最低でも
- 何故ここで猫を管理しているのか
- 誰が主として管理しているのか
- ここの猫が殖えてしまうのではないか
という不安要素は説明をしっかりして理解してもらう必要があります。もともと平行線な話なのですから問題が起きてからではなく、例えば何かの集会の際などにできるだけ多くの方に理解してもらう努力が必要だと思います。それでも反対する人はたくさんいるとは思いますが、何をしているのか分からない人ばかりの環境よりはよっぽど猫ちゃんたちのためになります。
極力迷惑にならない場所で管理する
中には猫アレルギーで苦しんでおられる方も見えるかもしれないことに配慮して、なるべく人が居住するスペースから離れた場所で管理するように心がけます。場所についても前述の話し合いなどの中で決めていくようにするとベストかもしれません。耳を傾けてくれる状態になれば、猫ちゃんの居場所を変更していくのに時間がかかることや、猫の習性で植え込みの木などで爪とぎをしてしまったり、いろいろな場所を歩き回ったりすることについても一定の理解が得られると思います。
どの猫ちゃんが「地域猫」なのかを知ってもらう
猫がいるということは少なくとも他の地域から外様が現れる可能性が否定できない環境であることには違いありません。そんなとき、ここにいる地域猫がどの猫ちゃんのことを指すのかが多くの方に認識してもらえていれば、外から流入してくる新たな野良猫の存在に気づくことができ、どう対処するのかを相談しながら決めることもできるようになります。話し合いがない中では全員が単なる「野良猫」でしかないわけですから、管理する側が認識する野良猫とは違うのです。
地域猫と関わる上でのルールを作る
一番問題なのが、エサ場以外でのエサやりと、残ったエサの放置です。エサの放置に関しては、地域猫という認知度が上がってくれば「野良猫にエサをやってる!」と思われているという意識がなくなるので、食べ終わるまで安心して猫のそばにいることができるようになり、次第に改善されてくると思います。また、ルールを共通にすることで、エサ場に案内を掲示したり、回覧で周辺地域にルールを周知したりできるようになり、いわゆる「ルール違反」に対して多くの目が光るようになります。
「猫が増えない」が大前提
繰り返しになりますが、いくら「地域猫」を理解してもらっていても、大前提である「いずれはゼロになっていくための活動」ということが崩れれば状況は一気に悪化します。「地域猫活動」は「TNR運動」とは違います。周辺住民の理解がないままに新しい猫が増えるという自体は何があっても避けなければなりません。
地域全員の目で捨て猫対策をする
いくら非道な行動である「猫を捨てる行為」であっても、地域猫のことを理解していなければ100%
「こんなところで野良猫飼ってるから捨て猫が出るんだ!!」
と何の罪もない地域猫たちが非難の目にさらされることになります。地域猫というものを理解してもらえていれば、猫を捨てるという行為が非道なことであるという認識を持ってもらえ、たくさんの目で問題が起こらないように監視することができるようになります。
「地域猫活動」の発展した形
ある地域猫の活動をしているところでは、捨て猫行為をする人が遠方ではなくごく近隣のお宅でみだりに殖えた仔だという話になり、地域の方で募金箱を作って独自に避妊去勢したい家庭への助成を行っているというのをインターネットで見たことがあります。超理想的な展開ではありますが、結局この場所で「捨て猫」に対する対策をしたとしても、違う場所で捨てられてしまったら単に責任転嫁をしているだけです。そして捨てられた猫ちゃんが幸せになれるとは限りません。根本改善をする意味でこの活動は本当の理想形だと思います。
地域猫活動をしている方、誰かが管理している猫ちゃんたちが地域にいる方、あなたの地域ではどのように運用していますか?今でもたくさんの猫ちゃんが殺処分されたり自動車に引かれたりして不幸な末路を辿っている現状を踏まえ、どちらからでもいいので歩み寄って話し合ってみませんか?私はまだ動きだせてはいませんが、今暮らしているかわいい猫ちゃんたちのために一歩を踏み出そうと思っています。