ネコノミの生態と駆除方法

動物とは切っても切れない関係にある寄生虫、中でもノミは犬や猫、小動物などにも寄生する比較的ポピュラー?な寄生虫の1つで、イヌノミ、ネコノミ、ウサギノミネズミノミ・・・などなど世界中に2000種類以上いると言われています。
猫ちゃんのサイトなので今回はネコノミの話をしますが、ネコノミといっても猫特有のものではなく、猫以外の生物にもついて血を吸って生きるので、猫だからネコノミということでもないようです。このこだわりのなさ?が人間にも影響するんですね。そして、ダニなどと一緒で単純な生物ほど繁殖力が強く、環境変化にも強いので、大きな生物が生息できる環境ではゼロにすることができないといっても過言ではありません。
まあ、生き物が家にいる、外に出掛けるということはこうした寄生虫と共存していることだと認識して上手に、影響のない程度に付き合っていくしかないと思います。
ペットショップなどでは「お宅で(大抵クレーム言う人はこういう呼び方します)買った猫(犬・うさぎ)にノミがいたけどどうしてくれるの?」といったクレームが勃発しますが、ノミやダニが100%いない環境では人間も動物も生きていけない訳ですし、飼育した後で外から人が運んできたのかも知れない、また、飼育環境に元々いたのかも知れないわけですからクレームを言う方も言う方かななんて個人的には思います。
さて前置きが長くなりましたが早速ネコノミの生態と駆除方法について紹介していきます。
ネコノミってどんな寄生虫?
ネコノミは体長1~3mm、褐色で体が縦に平たく、6本脚を持っています。後ろ足が強く、平気で30~50㎝程度ジャンプします。
一般的にノミが血を吸うのはオス・メスに関係なく成虫のみで、幼虫はノミの成虫の糞(血液の消化物)や人やペットの食べこぼし、フケなどを食べます。
ネコノミはその名の通り、猫に寄生することが多いノミで、普段は猫の毛の中にいて、必要に応じて血を吸います。血を吸うと体が膨らんでしまうため、1度にお腹いっぱいになるまで吸う訳ではなく、あちこちに飛び移って吸うようです。
よくノミは人に移るとか、人に寄生するということを聞きますが、実際には生物から血を吸って生きているので、血が吸えるところに人がいるというのが正確な表現のようで、「寄生」という意味合いではやはり猫の毛の中にいるのですから猫に寄生しているということになるのかもしれません。
ノミの一生
ノミは
卵→幼虫→さなぎ→成虫
という4段階の発育を経て、姿を変えながら成長します。
卵が産まれてから通常6日間程度ふ化して幼虫になり、1~2週間で2度の脱皮をした後、さなぎとなり、さなぎから約1週間ほどで成虫になります。通常1~2カ月で一生を終えます。
成虫になったノミは、光や熱、二酸化炭素に反応して動物の体表に寄生します。そして血を吸いながらどんどん卵を産みます(平均1日30個程度と言われています)。成虫になってから2日程度で産み始めるようです。毎日毎日死ぬまでこのサイクルが繰り返されます。
つまり・・・
- 0日~ 6日 卵の期間
- 7日~21日 幼虫の期間(この間に2回脱皮)
- 22日~28日 さなぎの期間
- 29日~31日 成虫として成長する期間
- 32日~60日 成虫として1日30個の卵を産む
というライフサイクルになります。
・・・とここで1つ疑問が。上のサイクルだと成虫が卵を産む期間は28日間。卵を1日30個産むと仮定すると
なんと
ことが分かります
もちろんすべての成虫が生き残るわけではないですし、すべての卵が孵って成虫になるわけでもないのですが、
最初の卵が全部孵って成虫になり♂:♀が1:2程度の割合だった場合には
840個の卵のうち560匹が♀の成虫になり、その成虫が毎日30個ずつ卵を・・・
えっっっっ
もちろんたくさん卵を産む生物は一般的に卵が成虫になる確率が低いので単純計算という訳にはいかないのですが、このうちの1/100が残ったとしても470個の卵が成虫になることになるのです。
恐ろしい話ですね・・・さらに恐ろしいのは、お腹いっぱい血を吸ったノミは長期間何も食べずに生きられるということです。
ノミの成虫は普段猫の毛の中にいるか、猫から離れて猫の居た場所(一般的には床が多いと言われています)にいますから、そこから飛び上がれる位置で血を吸われることが多いので、人間が吸われた場合には膝から下に集中することが多いのです。
ノミの駆除方法と効果的に減らすためのコツ
ノミは前述したように成虫と幼虫で食性が違うことから別々に考えて駆除するのが一番効果的な方法です。とはいえ部屋の中や布団の上などで頻繁にノミの成虫が見えるような環境では猫だけでなく部屋中に数100(数1000)の成虫がいるということになりますし、成虫がこれだけいるということは、卵は?幼虫は?さなぎは?・・・考えたくない位のノミの類がいると考えた方がいいと思います。
ノミの撃退をするための極意は
- 卵を産む成虫を除去する
- 次世代を担う卵や幼虫を除去する
ことです。
また、駆除するには根気が必要ですので
一気に全て駆除するぞ!!
と考えず、徐々に減らしていくことを心がけましょう
くん煙式の駆除薬はあまり効果がない
効果がないというのは語弊があるかもしれません。確かにくん煙剤から出る神経毒が効いた成虫は死滅させることができると思いますが、前述したように爆発的な繁殖力ですから減ったと感じるのは一時的なものにすぎないことから効果がないと感じることが多いです。
スポットタイプの駆虫薬も効果はイマイチ
動物病院で処方してもらったり、市販で販売されていたりする、「首の後ろに点滴して駆虫するタイプ」のノミ駆虫薬。成分はくん煙剤などとおなじ「フェノトリン」が配合されているものがほとんどで、この薬の効果がある間にノミが寄生すれば神経がやられてピクピクした後に死ぬというものなのですが、結局は影響されなかった卵や幼虫が家にいて再度寄生すれば復活というシナリオになってしまいますから一時的にはいいにしてもあまり永続的な効果は見込めないと思います。
成虫には「ノミ取り櫛」が一番
まずは第一の寄生主である猫ちゃんについたノミを徹底的に取っていきます。人から血を吸うといってもやっぱり居心地がいいのは猫ちゃんなのですから、申し訳ないですがここに集めていきます。ホームセンターなどでも販売されている「ノミ取り櫛」を使って丁寧に根気よく成虫とフンを取り除いていきましょう。
ノミ取り櫛で取ったノミはすぐに水に浸けます。経験上水だけだと逃げていきますので、必ず少量の中性洗剤を混ぜた水を浸かって窒息させるようにしましょう。ハイターなどの漂白剤も有効ですが、間違って猫ちゃんが舐めると危険なので使わないようにしましょう。
そして成虫の駆除で一番やってはいけないのが「成虫をつぶす」行為。潰すと毎日産んでいる卵が飛び散ることになり、前述した通り孵化した卵は血ではなくフケや食べかすを食べるためわざわざノミを野に放つこととなり、逆効果です。
部屋の床などに成虫がいる場合には掃除機やガムテープを使って徹底的に取るようにしましょう。その際掃除機で吸い取ったゴミは必ず洗剤入りの水に浸けてから密閉して捨てるようにしてください。
猫の体についた卵や幼虫は洗い流すしかない
猫の皮膚に産み落とされた卵は手で取ることができませんので洗い流すしかありません。このときノミ取り用のシャンプーを使うと成虫も取れて一石二鳥!!と言いたいところですが、ノミ取りシャンプーは刺激が強く、しかも影響は少ないとはいえフェノトリンという殺虫成分が入っているわけですから頻繁に行うことはおすすめしません。ぬるま湯でやさしく洗ってあげるだけでも効果はあります。ただでさえ水が嫌いな猫ちゃんですからストレスにならない程度にしてあげてください。
猫ちゃんを洗うときは、上から見下ろす形になるお風呂場よりも洗面台や流しの方が同じ目線になるので猫ちゃんは安心するかもしれません。結構水が飛びますがそこはぐっと我慢してやってあげましょう。
卵や幼虫は徹底的に掃除する
ノミの卵や幼虫は血を吸いませんから猫ちゃんに憑りついている必要がありません。大抵の場合は部屋の中で自由に暮らしているということになります。これらは掃除機やガムテープを使って徹底的に取るようにしましょう。その際掃除機で吸い取ったゴミは必ず洗剤入りの水に浸けてから密閉して捨てるようにしてください。
猫ちゃんがベッドや高い場所にいる場合にはそちらも念入りに掃除します。布団やまくらなどは幼虫のエサとなるものが多いので徹底的に掃除します。ダニと同じで成虫は日陰となる場所へ逃げてしまいますから、天日に干すよりも掃除機で吸い取った方が効果的です。
駆虫は根気よくが原則
長い期間を経て増えてしまったものなのですから簡単に壊滅させることはできません。ライフサイクルから考えて、今産まれてくる卵をどんどんなくしていっても最低2か月程度は戦うことになりますから、気長に行うしかありません。
- 卵を産む成虫を取る
- 産まれた卵を取る
- 孵化した幼虫を取る
という3つのポイントに留意しながら進めて行きましょう。
余談ですが、せっかく減らしても外から持ち込んだら元も子もないわけですから、
- 飼っている猫ちゃんは外に出さない
- 万が一逃げ出して戻ってきたらまずはシャンプー
- 人間も外出から戻ってきたらシャワーを浴びて着替える
といった対策はとった方がいいかもしれません。